オーディオ機器の付加価値(電子書籍のこと・その1)
レコード芸術休刊について書いたことに、facebookでコメントがあった。
そこには、
紙の雑誌では実現できない付加価値を出す努力を、電子書籍でやってほしい、
そう書いてあった。
同じように思っている人もいるだろうし、少なくないように思う。
けれど、それはほんとうに付加価値なのだろうか。
オーディオ雑誌、レコード雑誌だけに絞って書くけれど、
昔からさんざんいわれているように、誌面からは音は出ない。
音も音楽も目に見えない。
誌面から音が出てくれれば、音楽が鳴ってくれれば──、
そんなことを考えなかった編集者もいないと思う。
1980年代にCDマガジンが創刊された。
いまでいう空気録音を行ない、附録のCDに収録していた。
レコード芸術も1990年代に、CDを附録にしていた。
新譜の聴きどころをおさめたサンプラーである。
CDマガジンは、早い時期に休刊になった。
レコード芸術の附録CDも、そう長くは続かなかった、と記憶している。
いまの時代、電子書籍がCDマガジンが試みたことはすぐに行える。
レコード芸術の附録CDに関しても同じだ。
それは電子書籍の付加価値なのだろうか。
そう考えてしまうところに、雑誌の衰退があったと考えるのではないのか。
電子書籍にはページ数という制約もない。
電子化できる素材であれば、なんでも収録できる。
紙の本からすれば、それは電子書籍の付加価値のように見えるだろうが、
そうやってなんでも収録できる電子書籍側から紙の雑誌をみれば、どうだろうか。