会って話すと云うこと(その32)
数日前、ある人と会っていた。
共通の友人がいるけれど、いままで会う機会がなかった。
それほど長い時間ではなかったけれど、あれこれ話していて、
やっぱり、そうなのかとおもったのは、
いまのオーディオ界に対して、むなしい、といわれたことだった。
むなしいは、虚しいであり、空しいであり、
大辞林には、
(1)形だけで中身がない。形式だけで実質が伴わない。うつろである。「人が去って—・くなった家」「—・い生活」
(2)何の役にも立たない。結果が何も残らない。「時間が—・く過ぎる」「—・い努力」「善戦—・く敗れる」
(3)確実でない。頼りにならない。はかない。「—・い夢」「世の中は—・しきものと知る時し/万葉 793」
(4)根拠がない。無実である。「—・しきことにて,人の御名や穢れむ/源氏(乙女)」
(5)魂や心が抜け去って体だけになっている。命がない。「有王—・しき姿に取つき/平家 3」
とある。
ここでのむなしいは、オーディオ界に対して以上に、
オーディオ雑誌に対して、より強く向けられたものだった。
個人的にもステレオサウンドを読んで感じているのは、
この「むなしい」である。
むなしいと感じているのは、そう多くないかも──と思っていたけれど、
そうではなかった。
お前とその人、たった二人だけじゃないか、と言われそうだが、
ほんとうにそうだろうか。