ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その77)
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニット、
同じくドイツのマンガーの独自のユニット、
これらの他にもベンディングウェーヴ方式のスピーカーは、数少ないながらもある(あった)。
ほんとうに数は少ない。
世の中の九割以上のスピーカーは、ピストニックモーションによるモノだ。
ピストニックモーションを追求していくことは間違っているわけではない。
それでもピストニックモーションの追求だけでいいのだろうか、と考える。
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットの音を、
2002年のインターナショナルオーディオショウでのタイムロードのブースで始めて聴いて以来、
オーディオマニアはピストニックモーションの音に慣れすぎてしまっているのではないか──、
そんなふうに考えるようになっていった。
けれどそうでない赤ん坊はどうなのだろうか。
ピストニックモーションの再生音と、生身の人間が発している声、
実際の楽器が響かせている音とをはっきりと区別しているのかもしれない。
しかもこのことは、ピストニックモーションが追求され、
ピストニックモーションの領域が拡大されるにしたがって、より顕著になっていくのではないのか。