ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(そしてMQAのこと)
(その1)を書いたのは、2010年4月25日である。
十二年ほど前だから、まだMQAは登場していなかった。
MQAの音、つまりメリディアンのULTRA DACを初めて聴いたのは2018年9月だった。
2010年から2018年までの八年間、
ここでのテーマである朦朧体、音の朦朧体について考えていくうえで、
プログラムソースはどうするのか、それを再生するプレーヤーは? という問いが常にあった。
ULTRA DACの音は、MQAの音は、必要なコマがすべて揃った、
私にそうおもわせた。
とはいえ、2018年の時点で、
朦朧体の再生を実現するに必要なオーディオ機器は、私の元には何ひとつなかった。
2019年9月にメリディアンの218を導入。
これでMQA再生が日常的になった。
ここからが、私にとっての朦朧体の実現の第一歩になった。
だからこそ218には少しずつ手を加えていった。
ジェームズ・ボンジョルノの最高傑作は、SUMOのTHE GOLDである。
これはもう確信である。
とはいえ、コンディションのいいTHE GOLDはほとんど残っていない、といっていい。
いま手元にあるアンプは、GASのTHAEDRAとSAEのMark 2500。
どちらもボンジョルノの設計であり、基本設計である。
そしてジャーマン・フィジックスのTroubadour 40がやって来る。
本気で、THAEDRAとMark 2500のブラッシュアップを行う。
THAEDRAとMark 2500が最終的な答ではないだろうが、
だからといって、何があるのか、と考え込むことになる。
クォリティの高いアンプ、ついでに価格も高いアンプは、いまやいくらでもある。
それでも音の朦朧体に近いアンプは、いったいどれだけあるのだろうか。
朦朧体と書いてしまうと、朦朧ということで、
私がイメージしている音の朦朧体と正反対の音をイメージする人もいるだろう。
そういう音では決してないのだ、と力説しても、私が朦朧体だと感じる音を、
聴く機会はほとんどない、といっていいだろう。
それでもULTRA DACでMQAの音を聴く機会はあるはず。
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットの音を聴く機会もあるはず。
どちらか片方でも聴く機会があれば、そしてその音に良さを感じることがあれば、
私がこれまで書いてきている朦朧体という音についての手がかりにはなることだろう。