Date: 10月 31st, 2022
Cate: 日本のオーディオ
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日本のオーディオ、これまで(ヤマハNS1000M・その11)

1979年ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界」の巻頭、
瀬川先生の「80年代のスピーカー界展望」に、こうある。
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 この一年間に出揃った国産スピーカーの中から、価格別に話題作・注目作を列挙してみる。
 まず、ひとつの目立った現象は、発表後すでに五年を経て、スウェーデンの放送局が正式のモニターに採用するなど、国際的にますます高まるヤマハのNS1000Mを、おそらく狙い撃ちしようと言う意図のみえる価格設定の製品が、各社から発表されたことだろう。たとえば、パイオニアのS933、オンキョーのモニター100、そして前項であげたテクニクスSB10とビクターのZERO7。
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ステレオサウンド 54号の特集をふりかえっても、たしかにそうである。
ヤマハのNS1000Mは、すでにロングセラーモデルといえるようになっていたし、
ベストセラーモデルでもあった。

NS1000Mは、108,000円(一本)していた。
1976年発売のソニーのSS-G7(128,000円)も、
NS1000Mを《狙い撃ちしようと言う意図》のあったモデルといっていいだろう。
ブックシェルフ型とフロア型の違いはあってもだ。

なぜ国産スピーカーメーカーは、この価格帯にもっともっと力を入れなかったのか──、
いまふりかえると、そう思ってしまう。

この文章の数年後に、598スピーカーの不毛な競争が始まる。
ほぼ二倍の価格帯、NS1000Mのライバルとなるスピーカーを、各社が力をいれて開発していたら、
日本のオーディオは、かなり変っていたように、いまは思う。

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