五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(50CA10単段アンプ・その13)
50CA10のヒーターは、50V、0.175Aという規格だから、
オームの法則で抵抗値は285.7Ω程度である。
この値はヒーターが十分に熱くなってのことだ。
冷めた状態では、テスターで測かると、約40Ωである。
つまり50CA10を二本直列にすると、40Ω+40Ωで約80Ωしかない。
ここに100Vの交流電圧がかかるわけだから、最大で100V/80Ωで、
約1.25Aの電流が流れることになる。
1.25Aは0.175Aの七倍ほどである。
ヒーターの温度の上昇に伴い抵抗値も増えていくので、
十分に熱くなれば、0.175Aに落ち着くわけだが、それまでの時間、
短い時間であっても、50CA10のヒーターには規格値よりもかなり大きな電流が流れる。
白熱電球のフィラメントが切れるのは、スイッチを入れた時である。
このことは真空管のヒーターと同じである。
冷めた状態ではフィラメントの抵抗値が低いから、過大な電流が流れるからだ。
50CA10がいまでも新品が安価に入手できるのであれば、そういう使い方でもいい。
けれど、何度も書いているように50CA10は、そうではなくなっている。
なので私は50CA10と直列に285Ω程度の抵抗を入れる。
こうすれば、50CA10のヒーター温度が低い状態でも、
285Ω+40Ωで、約325Ωになるから、電源を入れた直後でも、100V/325Ωで、約0.3A。
50CA10直列接続よりもかなり低い値に抑えられる。
これだけでも、50CA10の寿命をのばせるはずである。
こういう場合、セメント抵抗を使う人が割と多い。
セメント抵抗の音の悪さは、けっこうなものである。
いや、セメント抵抗も使い方次第、という人もいるようだが、
私はたとえヒーター回路であっても使いたくない。