それぞれのインテリジェンス(その6)
TIDALを利用して音楽を聴くようになって、約一年半。
この一年半のあいだに何が変ってきたのか。
まず一つは、毎月の支払額が高くなっている。
TIDALの料金が上っているのではなく、円安ドル高の影響を受けて、である。
PayPalを利用してTIDALの料金を払っていることもあって、
先月は2,800円を超えていた。
高い、とは思っていないのだが、一年半前からすれば、けっこうな値上げでもある。
まだまだ円安が進めば、3,000円を超えるだろう。
それでもTIDALをやめることはまったく考えていない。
そのTIDALのおかげで、新しい演奏家の録音も、かなり積極的に聴いている。
いまに始まったことではないのだが、新しい演奏家の演奏テクニックは向上している。
私が、ここで書いている演奏家とはクラシックの演奏家のことなのだが、
このことはクラシックの世界だけではなく、ジャズでも、他の音楽の世界でもそのはずだ。
それにアイディアといっていいものだろうか、とちょっと迷うけれど、
アイディアも新しいところがあったりする。
なるほどすごいなぁ、と感心する。
けれども……、でもある。
そこから先が、あまりないように感じてしまうからだ。
そこから先の世界の拡がり、深まりが、
私が若いころ夢中になって聴いてきた、いわゆる往年の演奏家よりも、
狭く浅く感じてしまう。
なぜだろうか、とは思うし、その理由を考えてみたりもする。
世代の違いからくることなのか。
他にも、いくつか理由らしきものがあったりするのだが、
結局のところ、音楽、それも録音された音楽は、
その時代の音楽であるだけでなく、未来に放たれた矢でもある。