黄金の組合せ(その37)
黄金の組合せとは、アナログディスク全盛時代だからこそ、と、
改めて、この項を書きながら思っているところだ。
スピーカーがあり、アンプがあり、
そしてカートリッジがあってのいわば三位一体ともいえる絶妙の組合せだからこそ、
黄金の組合せと呼ばれたのだろう。
タンノイのIIILZ、ラックスのSQ38F、オルトフォンのSPU-G/T(E)、
この三つが揃っての黄金の組合せなのだ。
もしカートリッジがSPU-G/T(E)ではなく、
SPU-G/T(E)と正反対の性格の音のカートリッジだったらどうなっただろうか。
SPU-G/T(E)よりも透明で繊細な音だけれども、
低音の豊かさ、充足感に乏しいカートリッジでは、
《〝黄金〟の鳴らす簡素な音の世界》は奏でられなかったはずだ。
私が考えた組合せでも、そうだ。
カートリッジがピカリングのXUV/4500Qだったからこそ、である。
瀬川先生が考えられる《現代の黄金の組合せ》もまた、
アナログディスクゆえの組合せである。
瀬川先生はCDの音を聴かれていない。
瀬川先生が長生きされていたら──、
1990年ごろに現代の黄金の組合せについて何か書かれていたとしたら、
どんなことを書かれただろうか。