録音フォーマット(その4)
エソテリックの名盤復刻シリーズのSACDは、好評のようである。
オーディオマニアのなかには、
発売されたディスクすべて購入したという人も少なくないようである。
私は、というと、最初のコリン・デイヴィスのベートーヴェンの序曲集、
それから数年前に出たカルロス・クライバーの「トリスタンとイゾルデ」だけ買っている。
どちらもデジタル録音であり、しかも44.1kHz、16ビットである。
それをDSDに変換してのSACD復刻である。
元が44.1kHz、16ビットだから、そんなことをしても意味がない、という人もいる。
確かにそうではあっても、音は違ってくる。
プロセスの違いは、マスタリングの過程でもあるし、
再生側(D/Aコンバーターでの処理)でもあるわけだから、
音は変ってきて当然であり、大事なのは、自分のシステムで聴いて、
どう鳴るのか、である。
個人的には、もっとアナログ録音のSACD復刻を期待したいところだし、
アバドとポリーニによるバルトークのピアノ協奏曲を、ぜひ復刻してほしい。
44.1kHz、16ビットのデジタル録音をどういうプロセスでDSDに変換しているのか。
オーディオマニア的には、ダイレクトにDSDに変換しているものだと思いがちである。
けれど実際はそうではない。
マスターテープがドイツ・グラモフォンの場合は、
44.1kHz、16ビットのマスターを96kHz、24ビットに変換したうえでDSDにしている。
録音スタジオでは、96kHz、24ビットが標準フォーマットである。
とはいえ最終的にDSD(SACD)にするのに、88.2kHz、24ビットにしないのか、
そんな疑問が持ってしまう。