新版 名曲この一枚(その7)
今日発売のレコード芸術 5月号で、
「新時代の名曲名盤500」はシベリウスからイザイまでをカバーして、
ひとまず終りである。
また数年後、同じ企画は始まるし、
今回の企画を一冊にまとめたムックも出るように思っている。
今回で最後なので、ワーグナーも登場している。
意外だったのは、「ニーベルングの指環」で一位になっているのは、
いずれもショルティの録音だったことだ。
今回の「新時代の名曲名盤500」をじっくり読んできたわけではない。
Kindle Unlimitedでなんとなく眺めていただけなのだが、
それにしても1980年代、私が熱心に読んでいたころ(そのころは300だった)とは、
ずいぶん選ばれている録音が違う曲が、けっこう多くあった。
そんなことがあったのでワーグナーは、ショルティが一位なのがちょっと意外だった。
いまワンダ・ランドフスカの演奏(録音)は、どうなのだろうか。
Kindle Unlimitedではレコード芸術に関しては、数ヵ月前のバックナンバーまでしか読めない。
バッハをとりあげた号は、いまでは読めない。
ランドフスカはどうだったのか。
選ばれていないのではないだろうか。
1980年代後半の「名曲名盤300」でも、
すでにランドフスカは忘れられていたという印象を受けた。
そのランドフスカを、私はいまになって、ようやくいい演奏だと感じている。
このことは、若いころといまとでは認知距離(ディタッチメント)が変ってきた──、
ということなのか。
そんなことを考えていたら、ランドフスカの演奏は「花」なのかも、と思えてきた。
20代のころ、ランドフスカの演奏をそれほどよいとは思えなかったころ、
花にほとんど関心はなかった。
いまだって、それほど強くあるわけではないが、
それでもそのころよりもずっと花をみて美しい、と感ずることが増えている。
だからランドフスカは私にとって「花」なのだろうか。