岩崎千明氏と瀬川冬樹氏のこと(その16)
(その15)は、もう五年前。
その冒頭に、
グッドマンAXIOM 80からJBLへ。
岩崎先生も瀬川先生も、この途をたどられている、と書いた。
岩崎先生とAXIOM 80が結びつかない──、という人はいてもおかしくない。
でも、岩崎先生はJBLのパラゴンを鳴らされていた同時期に、
QUADのESLも鳴らされていた。
そのことを知っていれば、それほど意外なことではないはずだ。
とにかく瀬川先生もAXIOM 80だった。
そしてJBLへの途である。
岩崎先生も瀬川先生も、
最初のころは、JBLのユニットを使っての自作スピーカーである。
瀬川先生は、JBLの完成品スピーカーシステムとして4341を選択されている。
岩崎先生はパラゴンである。
その前にハークネスがあるが、これはエンクロージュアの購入である。
そしてパラゴンのあとにハーツフィールドも手に入れられている。
ハーツフィールドは、瀬川先生にとって、憧れのスピーカーである。
そしてパラゴンに対しては、ステレオサウンド 59号で、
《まして、鳴らし込んだ音の良さ、欲しいなあ。》とまで書かれている。
岩崎先生は、(その1)で引用したスイングジャーナルでの4341の試聴記である。
正しくは4341の試聴記ではなく、スタックスのパワーアンプの試聴記なのだが、
その冒頭を読んでいると、4341の試聴記なのかと思ってしまう。
4341の音を、
《いかにもJBLサウンドという音が、さらにもっと昇華しつくされた時に達するに違いない、とでもいえるようなサウンドなのだ》
とまで高く評価されている。
それだけではない、岩崎先生の4341の音の表現は、
瀬川先生の音の表現に通ずるものが、はっきりと感じられる。