程々の音(その29)
(その28)を書いたのは六年前。
その五年後に、コーネッタを手に入れることになるとは、書いている時はまったく思っていなかった。
欲しい、とは思っていても、そこまでだった。
コーネッタを手に入れて、半年はaudio wednesdayで鳴らした。
2020年10月のaudio wednesdayでは、music wednesdayというテーマで、
野上眞宏さんと赤塚りえ子さんにDJをお願いした。
この時の音は、すでに書いているのでくり返さないが、
あらためて「程々の音」ということについて考えるきっかけになった。
オーディオ歴がある程度ながくなると、
それまでのシステムをすべて投げ打って、
シンプルでうまくまとまったシステムにしてみたい、という欲求が出てくる。
小粋なシステムといってもいいだろう。
そういうシステムで、残りの人生を好きな音楽を聴いて過ごしたい──、
そんなことを一度もおもったことのない人は、どれぐらいいるだろうか。
ここでのテーマというより、この項自体が、
コーネッタについて書いていきたい、ということで始めた。
程々の音とは、どんな音楽をかけても、程々に鳴ってくれるから「程々の音」なのか。
そうでない、とはいわないけれど、そこに留まるのが程々の音ではない。
私にとっての「程々の音」の結論は、すでに書いている。
“plain sounding, high thinking”である。
そして、このことは聴く音楽と切り離して語ることは、絶対にできない。