ロジャー・ラッセル氏のこと
古くからの友人であり、オーディオマニアであるKさんから、
Roger Russell氏が亡くなった、という連絡があった。
ロジャー・ラッセルの名前をきいて、
誰だっけ? という人がいまでも多いかもしれない。
マッキントッシュのXRTシリーズの産みの親といえる人物である。
彼自身のウェブサイトを参照してほしい。
“Stereo Speaker System for Creating Stereo Images”という内容で、
特許を取得している。
XRT20のことである。
菅野先生は、「音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)」で、
《1958年の45/45ステレオレコードの発売を契機として、当時の、たんにモノーラルスピーカーシステムを2台並べてステレオを聴く状況にたいする、疑問と不満を発想の原点として開発がスタートして以来、じつに、20年かけたステレオフォニックスピーカーシステムの完成であった》
と書かれている。
別項でビバリッジのスピーカーのことを書き始めた。
シリンドリカルウェーヴについて、書こうかな、と考えていたところに、
ロジャー・ラッセル氏の訃報。
正確なピストニックモーションの実現が、
ステレオフォニックスピーカーシステムの実現へとつながっていくとは限らない。
オーディオの技術とは、決して無機的なものではなく、有機的なものだ、ということを、
ロジャー・ラッセル氏の功績をふり返ってみると、改めて実感する。