オーディオの「本」(近所の書店にて・その12)
つい先日、別の近所の書店で、ステレオ時代を手に取っている人がいた。
私と同じくらいか、ちょっと上の世代のようにみえた。
ほとんど、この書店でそういう人をみかけることはない。
新宿の紀伊國屋書店に行けば、規模が大きいし、繁華街にあるだけに、
ときどきオーディオ雑誌を手に取っている人をみかける。
それでも若い人が手に取っているところを、この十年ほどみかけたことがない。
オーディオマニアが高齢化していることは、これまでも何度か書いてきている。
ステレオサウンドだけのことではない。
無線と実験においても、読者の高齢化ははっきりとしている。
無線と実験がこれからも続いたとして、
読者が高齢化していくばかりであり、若い読者が登場してこなければ、
オーディオの技術者をめざそうとするオーディオ少年はいなくなってしまうのではないか。
私が別項でAliExpreeを取り上げているのは、このことも関係している。
昔の日本は、AliExpree的なオーディオのキットが、けっこうな数あった。
無線と実験、ラジオ技術、初歩のラジオ、電波科学などの、
自作記事が毎号載っているオーディオ雑誌もあった。
そういう時代背景があったからこそ、
オーディオの技術者がうまれ育っていったとはいえないだろうか。
そんなことは杞憂にすぎない、
いまはインターネットがあって、その代りを果たしているから──、
そんな声もきこえてきそうだが、そのことに期待もしているが、
そうともいえないという気持は半分程度はある。
いまのような状況が続けば、というかますますさびしいかぎりになっていけば、
オーディオ技術者はもう育ってこなくなることだって、十分考えられることだ。