結線というテーマ(その7)
いまではほとんど使われなくなったDINコネクターだが、
1980年代ごろまでは、ヨーロッパのオーディオ機器にはけっこう使われていた。
ラインケーブルの場合、DINは一つの端子でまかなわれる。
RCAコネクターのように、左右チャンネルで分離というわけではない。
なので左チャンネル、右チャンネルのホット側、
それに左右チャンネル共通のアースとなる。
たいていの場合、ケーブルは左右チャンネルを一本ですませる。
二芯シールドであれば、芯線を左右チャンネルのホットに、
シールドをアースに接続すればいい。
それにDINコネクターは、太いケーブルはまず使えない。
RCAケーブルの立派なみかけのケーブルをみなれた目には、
DINコネクターの接続は、たよりなくうつる。
たとえばQUADのパワーアンプの405。
1976年登場の、このアンプの入力端子はDINである。
これをRCAコネクターに改造した人もけっこういるようである。
DINコネクターに、かなり無理をして左右チャンネル独立のシールド線を通した人もいよう。
私も、人に頼まれてずいぶん昔にやったことがある。
そこそこ評判のいいケーブルを使って自作した。
交換すると、音はよくなった、と感じた。
依頼した人も満足していたので、それでよかったのだが、
一つ、その時気になったのはセンター定位のことである。
この点、一点に関しては、もともとのDINケーブル。
つまり左右チャンネルで共通のケーブル(つまり一本)のほうが、
しっかりしているように感じた。
自分のシステムではなかいら、気の済むまでじっくりと、
その点に関して聴き込むことはできなかった。
これが最初の疑問の起りだった。