五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その25)
「聴感上のS/N比がよくなるって、どんな感じですか」と問われたことが数回ある。
音を鳴らしている場であれば、実際に音を聴いてもらえば、わかってもらえるかもしれない。
何度聴かせても分かってもらえない人がいることも、体験上知っている。
時に言葉で説明した方が伝わることがないわけでもない。
おかしいなことだ、と思うところもあるが、結局のところイメージの問題なのかもしれない。
訊いてきた人のなかに、まったくイメージがなければ、
音を聴いてもらってもダメなことなのかもしれない。
そしてイメージのきっかけでも与えることができれば、
音を聴いてわかってもらえるようになる。
オーディオでは、昔から、百読は一聴に如かず、という人がいる。
オーディオ評論家が書いたものをどれだけ読んだところで、
一回音を聴いたほうがよくわかる的な使われ方がされるし、
絶対的な感じで、これをいう人もいる。
聴いた方がはやい、という場合は確かに多い。
でも、上に書いているように、必ずしもそうでないこともある。
そのことをわかんていない人ほど、百読は一聴に如かずを使いたがる。
そしてオーディオ評論家不要論を、そのあとに続ける。
そんな人はどうでもいいのだけれど、
「聴感上のS/N比がよくなるって、どんな感じですか」という質問に、
前回書いたもやしのヒゲのことを答えたことがある。
ヒゲを取ったもやし炒めを食べてみれば、
聴感上のS/N比がよくなる、というどんな感じなのか、
そして雑共振が音に与える影響についての、なんらかのイメージは掴めるのではないだろうか。
ヒゲを取ってみたら、というと、決って返事は、
そんな面倒なことするんですか、である。
面倒なことかもしれないが、難しいことではない。
もやしのヒゲを取るだけである。
ただ本数が多いだけのことだ。
それなのに、やりもしないで、面倒だ、と決めつける人がいる。
もやし一袋のヒゲを取るのに、一時間くらいかかるのであれば、
私だってそんなにやらないし、人にすすめたりもしない。
でも、やってみると、そんなに時間はかからない。
くり返すが難しいことは何もない、このことをやらない人は、
アンプの自作はやらないほうがいい。