S氏とタンノイと日本人(その4)
ステレオサウンドのベストバイの企画は、35号が一回目で、二回目は43号である。
43号からは、読者の選ぶベストバイ・コンポーネントも始まっている。
43号ではタイトル通りの内容(集計)だったが、
三回目の47号からは、読者の現在使用中の装置の集計も載っている。
47号は1978年の夏号。
この時のステレオサウンド読者が鳴らしているスピーカーの一位は、
ヤマハのNS1000(M)である。
二位はヤマハのNS690(II)、三位はタンノイのレクタンギュラーヨーク、
四位はテクニクスのSB7000とJBLの4343、六位はタンノイのアーデン、
七位はダイヤトーンのDS28B、八位はタンノイのIIILZ、九位はJBLのL26(A)、十位はKEFのModel 104(aB)。
ブランド別では、一位は、やはりヤマハで13.4%、二位タンノイ(11.1%)、
三位JBL(9.0%)、四位ダイヤトーン(8.6%)、五位JBL Pro(7.1%)となっている。
このころはJBL(コンシューマー)とJBL pro(プロフェッショナル)に分れていて、
4300シリーズのスタジオモニターはJBL proである。
二つのJBLをあわせると16.1%となり、ヤマハを抜いて一位となる。
43号、47号での読者が選ぶベストバイ・コンポーネントのスピーカーの一位は、4343で、
51号でも4343が一位、55号、59号もそうである。
五年連続4343が、読者が選ぶベストバイ・コンポーネントのスピーカー部門の一位である。
人気だけではなく、47号では四位(2.4%)だったのが、
51号では二位(5.0%)、55号では現用機種の発表はなく、
59号では一位(12.6%)と着実に順位を上げていっていた。
読者の選ぶベストバイ・コンポーネントでも、
55号では得票数1059(42.1%)でダントツだった。
1970年代後半の4343の人気と実績は、こういうところにもあらわれていた。
この時代のタンノイはどうだったかというと、
4343の勢いにおされていっていた。