世代とオーディオ(実際の購入・その3)
1977当時、G.R.F.は420,000円(一本)だった。
HPD385Aが搭載されたコーナー型のバックロードホーンである。
当時、タンノイはG.R.F.の製造は、オートグラフとともにやめていた。
エンクロージュアは、タンノイの承認のもと輸入元のティアック製だった。
この点もコーネッタに近い。
この時代、コーネッタが完成品のスピーカーシステムとして登場していたら、
300,000円前後になっていただろう。
ユニットの口径は小さいし、
ホーン型エンクロージュアとはいえ、フロントショートホーンとバックロードホーンとでは、
製作の手間が違う。
それでもコーネッタが、意外にも高くなると予想するのは、エンクロージュアの材質の関係だ。
コーネッタでは、バスレフポートや補棧にはラワンが使われているが、
エンクロージュアの大半には桜合板が使用されている。
この時代の300,000円前後の海外のスピーカーシステムといえば、
アルテックのModel 15(289,000円、一本の価格)、612C(296,000円)、
A7-8(326,000円)、アコースティックリサーチのLST(290,000円)、
JBLのL45-81B(289,000円)、L45-001B(299,000円)、L45-84B(324,000円)、
K+HのOY Monitor(300,000円、アンプ内蔵)、クリプシュのC-WO-15 Cornwall(320,000円)、
ラウザーのCorner Reproducer TP1 TypeD(295,000円)といったところである。
これらのスピーカーシステムの、現在の中古市場での価格をすべて把握しているわけではないが、
このなかで、一本四万円程度で買えるものがあるだろうか。
とにかく、中古オーディオ機器の購入は、運任せのところが多分に強い。
欲しい、と思った時に、あらわれてくれるとはかぎらない。
オーディオマニアのなかには、
ほぼ毎日のように中古を扱うオーディオ店を覗く人もいる、ときいている。
出合いを運任せにはしたくない──、そういう人は、そうであろう。