TANNOY Cornetta(その21)
タンノイは蓄音器的といわれている。
瀬川先生は《電気蓄音器の音と共通の響きであったように思えてならない》と、
「私のタンノイ」で書かれているし、
井上先生は《アコースティック蓄音器を思わせる音》と、「私のタンノイ観」で書かれていた。
どちらも「世界のオーディオ」のタンノイ号で読める。
長島先生も同じことをステレオサウンド 49号、ロックウッドのMajorのところで書かれている。
いまのタンノイがそうだとはいわない。
違うともいわない。
なにしろ、いまのタンノイのスピーカーがきちんと鳴った音を聴く機会がなさすぎる。
インターナショナルオーディオショウでの音を聴いて、
あれがタンノイの音とは思わない方がいい。
電気蓄音器とアクースティック蓄音器とでは、音の印象として違うところもあるが、
郷愁をくすぐるところがあるという意味では、同じことである。
エジソンの蓄音器が日本に最初に入ってきた時には、
蘇音器(機)、もしくは蘇言器(機)と呼ばれていた。
今回コーネッタの音を、じっくりと聴いていて、
私にとっては蓄音器的というよりも、蘇音器的だな、と感じていた。
蘇音器的といっても、エジソンの蓄音器的ということではない。
聴いていて思い起されること、というよりも、思い起こされる音がいくつもあったからだ。