4343と国産4ウェイ・スピーカー(その13)
コイルが、どう音に影響をあたえるのか。
両端にコイルが巻きつけてあるRCAケーブルがあれば、それを容易に確認できる。
高額な、最近の、アクセサリーという範疇を超えつつあるケーブルには、
よもや、こんなものはついていないだろうが、
以前は、意外に、ついているモノが多かった。
SMEのトーンアームに付属するケーブルにも、このコイルが巻きつけてあった。
RCAプラグの金属のエッジがケーブルの外被にあたり、ひどいときには断線にもつながるため、
ケーブル保護のためについていた。
SMEの場合、このコイルは鉄製(磁性体)でだった。つまりコイルであり、バネでもあったわけだ。
このコイルに、布製の粘着テープもしくはアセテートテープを一巻き貼るだけでも、
もちろん音は変化する。
さらにこのコイルを、少々苦労するが取り外してみる。
ステレオサウンドのアナログプレーヤーは、私が入社したころは、
パイオニア/エクスクルーシヴのP3だったが、
マイクロのSX8000IIの発表とともに、SMEの3012-R Proとの組合せに変わった。
トーンアームケーブルは、付属の銀線をそのまま使用していた。
つまり両端のコイルもそのままの状態で使っていたわけだ。
あるとき、井上先生から、
「ちょっとめんどうだけど、そのコイルをはずしてみろ」と言われた。
左右両チャンネル、ケーブルの両端にあるので、計4つのコイルをはずす。
面倒な作業だったことは、確かだ。
やっている最中は、「もうやりたくないな、こんな作業は」、と思っていたのに、
その音を聴くと、またやろうと思っていたし、実際、三度やっていた。
そのくらいの十分過ぎる変化だった。