JBL 4320(その12)
JBLの4343こそ、いまでも欲しい、と思い続けているスピーカーであり、
自分の手で鳴らしてみたいスピーカーとしても、私にとっては4343こそがトップである。
4350にも惹かれるところはある。
4343と4350。
この二つのJBLのスタジオモニターは、いまでも特別な存在であり続けている。
なのだが、ここ数年、4320もいいな、と思うようになってきた。
スピーカーとしてのポテンシャルということでは、
4343か4350ということになるが、
こまかいことはあまり気にしない、
とにかく気持よく音楽が鳴ってほしい。
つまりこまかいことなど、どうでもいい、
そう思わせるほどの気持よい音を望むとき、4320はいいな、と思うのである。
4320でも、ひどい鳴らし方をすれば、そんなふうには鳴ってくれないだろうが、
それでも4343、さらに4350のほうが、そんな場合は、もっとひどい音で鳴ってしまう。
4320を自分の手で鳴らしたわけではないから、はっきりといえないけれど、
4320は、4343,4350のようにシビアな鳴らし方を、聴き手(鳴らし手)に要求することはあまりない。
気持よく鳴り響く音ということでは、
ステレオサウンドが40年ほど前におこなった2m×2mの平面バッフルに、
アルテックの604-8Gを取り付けて鳴らした音だろう。
その音を聴いているわけではない。
でも、何度も、その音について語られた文章を読み返している。
屈託なく音がのびていく。
そこにはためらいなど、まったくないかのように鳴っていく──、
そんな音を想像しながら読んでいた。
604-8Gと平面バッフルの組合せの音。
それに近い性格の音をJBLに求めるならば、4320ではないのか。