オーディオ雑誌考(その6)
オーディオ評論は、どうだろうか。
マンガと違い、オーディオ評論用のスマートフォンのアプリはいまのところない。
これから先もまずない、だろう。
なので、掲載誌という概念はまだ残っていくのか、といえば、
どうなのだろうか、と考え込むところもある。
一冊の書籍でも書き下ろしでなければ、巻末に初出誌一覧がある。
岩崎先生の「オーディオ彷徨」、瀬川先生の「虚構世界の狩人」、
菅野先生の「音の素描」などにも、初出一覧がある。
けれど初出一覧をじっくり見ている人はどのくらいいるのか。
意外と少ないようにも感じている。
「オーディオ彷徨」だとステレオサウンドとスウイングジャーナルで大半をしめ、
あとはレコード芸術、オーディオ・ジャーナル、ジャズ、ジャズランド、サプリーム、FMレコパル、
サウンド、レアリテなどがある。
私は「オーディオ彷徨」を最初に読んだ時、
読み終ってから初出一覧を見て、
あの文章はやはりスイングジャーナルに書かれたものなのか、
レアリテって、どういう雑誌? と思い、冒頭を読み返したりもした。
「虚構世界の狩人」でも同じことをやったし、
黒田先生の「レコード・トライアングル」、菅野先生の「音の素描」のときもそうだった。
おもしろいと感じた文章ほど、どこに書かれたなのなのかが気になる。
自分がそうだから、ほかの人も同じ、と思い込まない方がいいのはこの件でも同じで、
初出一覧なんて、まったく気にしない、という人がいるのも知っている。
そこに書かれた内容をしっかりと読んでいさえすれば、
初出がどの雑誌なのか、なんてことは気にする必要はない、
といいきれないところが私にはある。
この感覚は、性格的なものでもあろうし、マンガを読んできていたからなのか、とも思う。