Pletnev plays Schumann(その1)
ミハイル・プレトニョフのピアノ(シューマンの交響的練習曲)。
2005年5月19日、菅野先生のリスニングルームで聴いている。
《いま、空気が無形のピアノを、ヴァイオリンを、フルートを鳴らす。 これこそは真にレコード音楽というものであろう》
これは「五味オーディオ教室」で出合った。
とはいえ、実際に、このような音を聴くことがかなったのは、
菅野先生のリスニングルームで、いまから十五年前のことである。
「五味オーディオ教室」から二十九年経ってのことだ。
この録音のすごさを理解しない人がけっこういる──、
そんなふうに嘆かれていた菅野先生のことも思い出す。
プレトニョフのシューマンの交響的練習曲のCDをすぐに買った──わけではなかった。
このCDはすごい、と会う人にすすめはしたけれど、なぜだか自分では買わなかった。
シューマンがあまり好きでないことが、その理由かもしれない。
自分でも買わなかった理由がよくわからない。
数年経ち、買おうかな、と思ったときには廃盤になっていた。
買っておけばよかった、とは思わなかった。
なにかきっかけがあったわけではない。
なのに、今日、ふとプレトニョフの交響的練習曲のことを思い出した。
あいかわらず、いまも廃盤のままだった。
けれどSACDが出ていたことを、今日知った。
あの日、菅野先生のリスニングルームで聴いたのはCDだったはず。
菅野先生が見せてくれたCDのケースは、SACDのそれではなかった。
こうなると欲しくなってくる。
ヤフオク!にはあるかな、とチェックしていたら、偶然にもあった。
しかもあと三十分ほどで終了。誰も入札していなかった。
落札できた。
まだ手元にはない。
SACDだから、といって、
あの日の菅野先生のリスニングルームでの音が再現できるとは思っていない。
それでも、最近、無性に、ピアノのいい録音を聴きたいという気持が高まっている。