SG520とC240(その3)
アキュフェーズのC240のデザインは、
JBLのSG520のデザインの、瀬川先生による翻訳なのかもしれない。
コントロールアンプのデザインの象徴の一つとして、
真空管アンプのマランツのModel 7があり、
トランジスターアンプのJBLのSG520がある。
Model 7は、あらゆる模倣デザインが生れてきた。
マランツのトランジスターアンプがまずそうだし、
ラックスのアンプも、その代表的例である。
けれどSG520は、というと、すぐに浮んでくるモデルはない。
SG520がそうであるように、あのデザインを模倣するということは、
内部構造も同じようになり、メインテナンスが困難になるということも、
模倣デザインが続いてこなかった理由として考えられる。
それにModel 7は基本的に左右シンメトリーの配置であるのに対し、
SG520はまったくそうではないことも、模倣デザインが生れてこなかった理由だろう。
そこにあえて挑戦されたのではないのか。
SG520が誕生したころから部品の進歩は続いている。
リレーを多用すれば、SG520と同じデザインであっても、
内部配線はずいぶんすっきりしてくるはずだ。
C240は1979年ごろに登場している。
SG520とは十年以上の開きがある。
SG520ではできなかったことも可能になる。
その意味での、瀬川先生の挑戦でもあった、と考えられる。
挑戦するには、SG520をまず理解しなければならない。
その理解に必要なのが、翻訳という作業だと考える。
SG520の、瀬川先生による翻訳と挑戦。
その結果が、C240である。