平成をふり返って(その7)
個人情報の保護ということがいわれるようになってから、
病室の入口に、入院している患者の名前のプレートが消えていった。
私が入院していたころは、
どの部屋にどんな名前の人が入院しているのは、
部屋の前を通れば、誰でも知ることが出来た。
個人情報の保護という点では、ネームプレートをなくしたことは間違っていない。
けれど、一方で、患者の取り違えをなくすために、
患者本人に名前をフルネームで、さらに生年月日までいわせるようになっている。
こうすれば患者の取り違えは、まず起らないだろう。
でも、看護婦が患者に、病室の前の廊下で、名前と生年月日をきいているのは、
そばを通っている人の耳には、はっきりと聞こえたりする。
フルネームと生年月日が、第三者に情報が漏れてしまっている。
これで個人情報の保護を行っているつもりなんだろうか。
これがとある大学病院でのことである。
このちぐはぐさはなんだろう、と思う。
個人情報は保護しなければならない、
患者の取り違えは絶対に無くさなければならない。
この二つの重要なことの両立が、
私がたまたま訪れた大学病院ではできていなかった。
(その6)で書いている、昼間でもカーテンを閉めきって、
病室が暗くなっていることも、
入院患者の一人一人が、なんとなくではあるが、
個人情報の保護とプライバシーの確保ということに、
ずいぶん神経質になっているためなのだろうか。