Date: 8月 25th, 2019
Cate: ジャーナリズム, ステレオサウンド
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編集者の悪意とは(その20)

試聴記も見出しも、オブラートに包んだといえる表現だ。
この日、XRT18の音は、ほんとうにひどかった。

そのひどい音に対して、もっと辛辣な言葉が試聴室内では交された。
そのくらい、ひどい音だったわけだ。

これなら、ヴォイシングの経験のない私がやった方が、
ずっとまともな音を出せたのでは──、そんなことを思ってしまうほどだった。

このひどい音の原因は、ヴォイシングの明らかな失敗である。
誰の耳にもはっきりとしている。

エレクトリの担当者は、ヴォイシングの初心者ではない。
全国の、XRT20、XRT18の購入者のリスニングルームに行き、
ヴォイシングを何例もやってきた人である。

それに自社扱いのスピーカーの音を、わざとひどくしてしまう理由はない。

ヴォイシングをいっしょにやったKHさんも、
前述したようにXRT20のユーザーであり、
マッキントッシュの信者といっていいくらいの人である。

この試聴で、XRT18の順番を三日目の最初にもってくるように調整した、
特集の担当編集者にしても、少しでもXRT18をきちんと鳴らそうとしてのことだ。

ようするに、誰にも悪意といえるものはない。
けれど、実際に鳴ってきた音は、どうしたら、ここまでひどい音にできるのかと思えるほどだった。

こういう事情を知らない読者からすれば、
ステレオサウンド 87号でのXRT18の試聴結果から、
誰かが悪意をもっていたのかも……、そんなふうに思う人がいても不思議ではない。

くり返すが、この試聴に関係している人は、誰もXRT18に悪意を持っていたわけではない。
それでも、結果は違った。

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