Date: 7月 13th, 2019
Cate: 電源
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スイッチング電源のこと(その4)

スイッチング電源がオーディオ機器に使われはじめた1970年代後半、
そのころの製品で、スイッチング電源について考えるのに、
対照的なところをもつのがソニーのパワーアンプである。

ソニーはTA-N86、TA-N88でスイッチング電源を採用した。
ソニーは、PLPS(パルスロック電源)と呼んでいた。

TA-N86、TA-N88は、シャーシーの高さ8.0cmの薄型パワーアンプである。
これら二機種の約一年後に登場したTA-N9もスイッチング電源搭載のパワーアンプである。

TA-N9は18.5cmと、TA-N88の二倍以上の厚みになっている。
内部はアンプ部よりも、電源部の占める割合が大きい。
ほぼ三分の二の電源といえるほどである。

しかもTA-N9はモノーラルパワーアンプにも関らず、
ヒートパイプ方式のヒートシンクを二基もつ。
アンプ用とスイッチング電源用である。

TA-N86、N88のスイッチング電源の動作周波数は20kHzである。
ビクターのM7070が35kHzである。
TA-N9は、TA-N86、88と同じ20kHzである。

高校生のころ、TA-N9の内部写真を見て、
スイッチング電源の動作周波数が高くなったのかも……、と最初思った。
動作周波数を高く設定することで、発熱も増えていったのかもしれない。
そのためのヒートシンクなのだろう、と考えたわけだ。

でも動作周波数は変らず、である。
スイッチング電源は、そのころから効率がいい、といわれていた。
効率がいいということは発熱も少ないはずだ。

にも関らずTA-N9のスイッチング電源のヒートシンクは、
450Wの出力をもつアンプ部のヒートシンクと同サイズである。

しかもスイッチング電源部はシールドされているが、
平滑コンデンサーはシールドケース外にあり、
スイッチング電源とは思えないサイズのコンデンサーである。

このことは、スイッチング電源を本気で設計し作るとなると、
同時代の、同じ会社のパワーアンプにおいても、これだけの違いが生じてくる、ということである。

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