編集者の悪意とは(その13)
沢村とおる氏の原稿を読んで、カチンときたところ以外にも、
不満をおぼえたところはまだある。
不満だけではない、いったいこの人は、どういう立場で原稿を書いているのだろうか──、
そういう疑問もいっしょにくっついてきてのものである。
沢村とおる氏は《われわれアマチュア》という表現を複数回使われている。
なぜ、こんな表現を使うのか。
わざとへりくだっての《われわれアマチュア》なのだろうか。
けれど、いかにもアマチュアとしか思えない箇所もある。
スピーカーシステムの商品化に当たって、貴社ではエンクロージュアの設計をどのようになさっていますか?
(イ)ユニット構成に基づいて、それに一番適合したエンクロージュアを考える。
(ロ)エンクロージュアのアイデアを生かしながら、合ったユニットを選ぶ。
(ハ)ユニットとエンクロージュアを相互に考えながら、一体化して考えていく。
このアンケートについて、沢村とおる氏は、次のように書かれている。
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これに対する解答は、無解答の1社を除いて、全メーカーが(ハ)と答えている。これは当然こうなるだろうと、予想していた通りの結果だが、分かっていることをなぜ尋ねたのかというと、われわれアマチュアがスピーカーシステムを自作する時は、そうではないからである。たいていは(イ)のケースがほとんどで、例えばJBLのユニットが良さそうだから、それを使おう。それに合ったエンクロージュアは、どんな形式で、どんな大きさのものがいいか? といったふうに、ユニットを決めてから、それに適合したエンクロージュアを選んでいくのが普通である。時にはエンクロージュアの面白さから(ロ)になることもあるが、(ハ)ということは、まずあり得ないといっていいだろう。これがアマチュアと、専門家であるメーカーの考え方の違うところである。
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確かに、このころの国産スピーカーメーカーは(ハ)であった。
けれど、だからといって、これだけで、
《これがアマチュアと、専門家であるメーカーの考え方の違うところ》と言い切れるものだろうか。
ここで思い出してほしいのは、海外のスピーカーメーカー、
この時代のJBL、タンノイといったメーカーのスピーカーづくりについて、である。