長島達夫氏のこと(その10)
(その2)で書いていることの数ヵ月後だったか、
長島先生が、ステレオサウンド編集部に立ち寄られた。
秋葉原に行ってきた帰り、ということだった。
カバンの中から、何かを取り出された。
初めて目にするモノだった。
ハードディスクだった。
3.5インチのハードディスクで、
そのころだから容量は20MB程度だっただろう。
それでも薄くはない。
分厚く重かった。
ハードディスクという存在についても、当時はよく知らなかった。
ステレオサウンド編集部には富士通のOASIS 100F(ワープロ)があったけれど、
これは5インチのフロッピーディスクで稼働していた。
長島先生がハードディスクについて説明してくれる。
CDとは違って面ブレを起さない、ともいわれたことを思い出す。
将来、CDに代って、こういうモノで音楽を聴くようになるだろうし、
そうなってこそデジタルの良さが活きてくる、とも話された。
いまから三十数年以上前の話である。
長島先生は、その約十年後の1998年に心不全で亡くなられている。
生きておられたら、「ほらな、言った通りになっただろう」といわれたはずだ。