オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(整理と省略・その9)
今日、非常に興味深い話を聞いた。
とあるメーカーで、開発の方向性をまとめる仕事をされる方から聞いた。
オーディオメーカーではないが、音楽に関係のある、けっこう大きな、よく知られている会社である。
そういう会社が新製品を開発する際に、
妄想カタログ、妄想取り扱い説明書を先に作ることがある、という話だった。
カタログにしても取り扱い説明書にしても、製品が大方出来上ってから制作に入るものだと、
今日(今晩)までずっと思っていた。
なのに(その会社だけではないようである)、
カタログ、取り扱い説明書が先に作られる。
たとえば昔のマークレビンソンのアンプだと、
マーク・レヴィンソン一人(もちろん回路設計は別にいても)である。
マーク・レヴィンソンの頭のなかに、すべてがある、ともいえる。
けれどもっと大がかりの製品の開発ともなれば、チームでの作業となる。
チームにはさまざまな専門家がいる。
そうなると個人がやる製品づくりとチームとでは、やり方が違ってもこよう。
特に取り扱い説明書を担当する人は、
取り扱い説明書の専門家である。
だから、妄想取り扱い説明書ではなく、想像取り扱い説明書といったようが的確だろうが、
ここではこの話をしてくれた人が、妄想カタログ、妄想取り扱い説明書といわれていたので、
それにしたがっている。
取り扱い説明書の専門家が、製品ができる前に書く取り扱い説明書は、
素人が好き勝手に書いたものとは、当然ながら違う。
しかもインターフェースが重要となる製品において、
取り扱い説明書の専門家は、専門的知識をもっての想像で、
製品より先に取り扱い説明書を書く。
それによって製品の仕様の細部が決定されることがある、という。
面白い話だと思いながら、
一方では、セブン・イレブンのコーヒーメーカーの開発には、
おそらく妄想カタログ、妄想取り扱い説明書は制作されなかったんだろう、とも思っていた。