メリディアン ULTRA DACを聴いた(その30)
ホーン型スピーカーは、過渡特性に優れている、と昔からいわれている。
スピーカーの教科書的な書籍にもそう記述してあるし、
なるほど測定結果をみても、確かにそうだな、と頷けることも事実だ。
それでも私のなかでは、若干の疑問もつねにあった。
ほんとうにホーン型スピーカーは過渡特性に優れているのか、と思ってきた。
けれど、そんなことをいつしか考えないようになっていた。
この20年ほどはそんな感じだった。
そこにメリディアンのULTRA DACを聴いたわけだ。
ここでもくり返すが、ULTRA DACで鳴らすアルテックは、
ホーン臭さを微塵も感じさせない。
そのことについて昨秋から考えていた。
いまのところ仮説にすぎないけれど、結局、ホーン型は過渡特性に優れているからなのだ、と。
そういう直観が、いまはある。
もちろん、ここでいうホーン型とは、きちんと設計、そして製造されたモノのことであり、
なんとなくホーン型のようなスピーカーのことではない。
とにかくきちんとつくられたホーン型スピーカーならば、過渡特性は優秀であり、
その優秀さゆえに、CDプレーヤー全盛時代になり、評価が低くなっていった──、
これも仮説にすぎないのだが、ULTRA DACの音は、こんなことを考えさせてくれる。
CDプレーヤーも、初期の製品にはデジタルフィルターはあまり搭載されていなかった。
マランツ(フィリップス)のCD63には4倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターが搭載されていた。
デジタルフィルターは、あっという間に広まった。
デジタルフィルターを搭載していない機種は1980年代後半には存在してなかったはずだ。
けれどこのデジタルフィルターの搭載が、
ホーン型の評価の凋落に関っているのではないのか。
ここでの仮説は、ULTRA DACが、
メリディアンの謳うところの時間軸の精度の高さが事実であるであることが前提である。