森芳久氏のこと
facebookを見ていたら、森芳久氏が12月26日に亡くなられたことを知った。
森芳久氏は、ソニーのカートリッジのエンジニアとして、
私がオーディオの世界に足を踏み入れたころから、オーディオ雑誌に登場されていた。
他の日本のメーカーのエンジニアの人たちも、
オーディオ雑誌に登場されている。
顔写真も載っていたりしていた。
森芳久氏の名前と顔はすぐに憶えた。
柔和な表情が、そのころからすごく印象に残っていたからだ。
ソニーのカートリッジは、こういう表情の人が設計・開発しているんだな、と思ったことを憶えている。
1982年から丸七年ステレオサウンド編集部にいたけれど、
森芳久氏と会う機会はなかった。
1982年秋にはCDが登場している。
いうまでもなくソニーはフィリップスとともに、CDのオリジネーターである。
CD登場後もソニーのカートリッジの新製品は出ている。
それでも会う機会はなかった。
森芳久氏のことを何か書けるわけではない。
だったら書かなければいいではないか……、
そのとおりなのだが、書かずにはいられない気持は消さない。
音環手帖というウェブサイトがある。
東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科のサイトである。
森芳久氏は、音響技術史という講義を担当されていたそうだ。
音環手帖には、「教官モ、語ル」というページがある。
森芳久氏が登場されている。
「技術は決して無機的なものではなく、そこには熱い血が流れているのです」
そのページに、そう記してある。