A CAPELLA(とMojo・その8)
(その7)で終りにしようと思っていたが、もう少し書きたいことが残っている。
CHORDのMojoは輸入品である。
これが日本製であったなら、もう少し安価にできるはずなのだが、
日本のメーカーからは、Mojoがなぜ登場してこないのか。
いま発売中のトランジスタ技術10月号に、1ページだが、Mojoの記事が載っている。
内部写真がカラーで載っている。
Mojoを製造することは日本のメーカーでもできるはずだ。
けれど、なぜ開発できないのか、とおもう。
Mojoには三つのデジタル入力端子があるが、入力セレクターはない。
三つの入力には優先順位があって、USBが最優先されている。
日本のメーカーだったら、間違いなく入力セレクターをつける。
Mojoの電源スイッチの色が、入力信号のサンプリング周波数を示す。
ここに関しても日本のメーカーだったら、どうするだろうか。
ディスプレイをつけるメーカーもあろう。
出力端子はどうしただろうか。
そんなふうに細部を検討していくと、
中身は同じだとしても、外観はずいぶんと違ってくると予想できる。
それでも同じ中身を、同等のクォリティの中身を、日本のオーディオメーカーは開発できただろうか。
このくらいモノ、できますよ、というメーカーの人がいるかもしれない。
ならば、つくってくれ、といいたい。
同じことは昔もあった。
ステレオサウンド 55号には書かれている。
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いくらローコストでも、たとえばKEFの303のように、クラシックのまともに鳴るスピーカーが作れるという実例がある。あの徹底したローコスト設計を日本のメーカーがやれば、おそろしく安く、しかしまともな音のスピーカーが作れるはずだと思う。
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瀬川先生が書かれている。
KEFのModel 303については別項で何度も書いているから、ここではもう書かない。
Model 303も、日本のメーカーは製造はできただろう。
もっと安価にできたはずだ。
けれど開発はできなかった。
日本のメーカーがやったのは、598戦争といわれるスピーカーの開発だった。
そのころから日本のメーカーはスピーカー開発においてはまだしもの感はあっても、
アンプ、チューナーなどの電子機器においては、優秀なモノをつくる、といわれていた。
D/Aコンバーターは、アンプと同じ電子機器であるにも関らず、
日本のオーディオメーカーからMojoに匹敵するモノは出てきていない。
弱体化している、とも感じている。