メリディアン ULTRA DACを聴いた(その24)
そういう違いのある、MCD350の音とULTRA DACの音で「Moanin’」を聴いている。
MCD350によるSACDの音を基準とすれば、
ULTRA DACによるMQAディスクの音は、やや暗いと受けとられるし、
後者の音を基準とすれば、MCD350での音は明るすぎる、ともなる。
どちらの鳴り方が「Moanin’」なのか。
「Moanin’」はmoanから来ている、とある。
moanには、 (苦痛·悲しみの)うめき(声) 、
〈不幸などを〉嘆く、悲しむ、〈死者を〉いたみ悲しむの意味がある。
そんなmoanの意味を知れば、ULTRA DACでの「Moanin’」なのかとも思う。
クラシックを主に聴いてきた私は、
「Moanin’」の鳴り方はこうでなくては、というのがまだ形成されていない。
「Moanin’」の意味を考えずに、能天気に聴いているのであれば、
MCD350の音も気に入っている。
それでも、一度「Moanin’」の意味を知ろうと思ったのであれば、
聴き方も自ずと変ってくるというものだ。
ULTRA DACでの「Moanin’」も、やはり静かだ。
静かであっても、いわゆる鉛などを使った鈍重な静けさの音が、
角を矯めて牛を殺す的に陥りがちであるのとは違う。
躍動している。
バド・パウエルの「Cleopatra’s Dream」も聴いた。
このディスクは、こうあってほしい、というイメージが私にもある。
もう少しセッティングを詰めていったら──、と感じもしていたが、
それでもベクトルは一致している。
ならば「Moanin’」も、ULTRA DACでの音こそ、となるのか。
「Moanin’」のDSDファイルをULTRA DACで鳴らした音も、
だから無性に聴きたい。