Date: 8月 7th, 2018
Cate: 真空管アンプ
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BOSE 901と真空管OTLアンプ(その1)

真空管のパワーアンプには出力トランスは不可欠である。
このトランスの存在が、真空管アンプをおもしろくしていると捉えることもできるし、
トランスこそ厄介モノとして捉え、外すことを考えたのがOTLアンプである。

OTLはOutput Transformer Lessである。
日本では高城重躬氏、富田嘉和氏が1950年代始めごろから始められている。

OTLアンプの自作が盛んだったころは、
パイオニアやコーラルから200Ωのスピーカーユニットも出ていた、と聞いている。
通常の16Ω、8Ωのユニットの価格に10〜20%ほど上乗せすることで応じてくれていた、とのこと。

コーラルのロングセラーのトゥイーターH1には、400Ω仕様もあった。
ハイインピーダンスのユニットは、当然ながらコイルの巻数が増える。
これは絶縁層の体積の増加でもある。

そうなるとボイスコイルを含めた振動系の質量は増す。
そのため出力音圧レベルは、通常のインピーダンスのモノよりも低下する。
それにコイルの巻線も細くなるため、耐入力も低下する。

それでも日本のアマチュアで手先が器用な人は、
1.5kΩ、2kΩといったインピーダンスを実現した。
最高は5kΩで、当時のラジオ技術には、6V6シングルでのOTLアンプを実現した記事も載っている。
もう執念としかいいようがない。

こういったことを知った中高生のころ、OTLアンプに興味をもった。
とはいえ200Ω、400Ωのスピーカーユニットは、もう売られてなかったし、
ボイスコイルを巻き直そうとも考えはしなかった。

考えたのは、スピーカーユニットを直列に接続すればいいじゃないか、だった。
BOSEの901の存在が、そう考えたことに結びついている。

901は九本のフルレンジユニットすべてを直列接続している。
一本あたりのインピーダンスは0.9Ωと極端に低い。
これを九本直列接続することで、8.1Ωにしている。

ならば8Ωのスピーカーユニットを九本直列接続すれば、72Ωに、
16Ωならば144Ωになり、このくらいのインピーダンスになれば、
大がかりなOTLアンプでなくとも、実用になるのでは? と考えていた。

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