オーディオと「ネットワーク」(モニター機の評価・その15)
モニター機の評価に関するいざこざは、メーカー側の求めることにもあったのではないだろうか。
今回のメーカーが、どういうことを個人ブロガーに求めていたのかははっきりしないが、
個人ブロガーをふくめてオーディオマニアを、
自社の広報マンの代理として考えていた可能性はあるように感じている。
もう十年近く前になるが、
あるメーカーのある製品が、オーディオ雑誌に取り上げられた。
あまりこのメーカーの製品は雑誌で扱われることはない。
高い評価を得ていた。
その後で、そのメーカーの人と話す機会があった。
彼はすごく喜んでいた。
そうだろう、と思ったけれど、そのあとに彼の口から出た言葉を聞いて、
少し考えさせられた。
これと同じことがfacebookでもあった。
別のメーカーの、ある製品を、とあるオーディオ評論家が評価していた。
そのことをこのメーカーの人も喜んでいた。
二人の喜び方は、同じに見えた。
つまり彼らが伝えたいことを、すべてオーディオ評論家が伝えてくれたからである。
だから、彼らは、○○さんはいい評論家だ、といっていた。
最初のメーカーを評した人(二人)とあとのメーカーを評した人(一人)は、
一人だけが同じ人である。
二人のメーカーの人が喜んでいるのは、そういうこと(レベル)なのか、と思った。
そのぐらいのこと、オーディオ業界で飯を食っている人にとっては、
さほど難しいことではない。
そういう評論家は、メーカーにとってはありがたい人であろうが、
読者にとっては、いい評論家といえるだろうか。
もっといえばメーカーにとっても、いい評論家とはいえないはずだ。
そこに、二人のメーカーの人は気づいていないようだった。