Date: 7月 21st, 2018
Cate: 複雑な幼稚性
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「複雑な幼稚性」が生む「物分りのいい人」(その50)

ほんとうに、ステレオサウンドの編集長が謝罪して事を丸くおさめる。
そのことは誌面には載らず……、である。
そんなことは昔から行われてきたのだろうか。

読者側からだけの視点ではそんなことがけっこうあるんだろうな、と思いがちになる。
けれどメーカー側、輸入元側の立場に立って想像してほしい。

自社取り扱いの製品が、ステレオサウンドで低い評価となった。
その低い評価を、確かにそうだな、と受けとめる会社(担当者)もいれば、
不当な評価だと受けとめるところもある。

不当な評価といっても、ほんとうに不当かどうかは関係ないわけで、
メーカー側、輸入元側がそう思ったら不当な評価となることもある。

とにかく不当な評価だとメーカー、輸入元が思ったら、
どういう態度をとるだろうか。何を要求するだろうか。

編集長が謝罪に来て、それで事がおさまるか。
すでにステレオサウンド誌上に、低い評価が載っている。
メーカー、輸入元からしたら、それを取り消してほしいわけだ。

編集長がどんなに謝罪したところで、
それが表に出なければ、メーカー、輸入元の求めることとは違う。

特に特集での総テストでの低い評価の製品が、
その後のステレオサウンドに登場し、高い評価を得るということはあっただろうか。

あったとして、読者が二度目の評価を信じるだろうか。

メーカー、輸入元からしたら、なんらかの形で低い評価は間違っていたことを、
読者に示してほしい。

ステレオサウンドでの低い評価に対して、メーカー、輸入元から不当な評価だとクレームが来る──。
そんなことがまったくなかったとは私だって思っていない。

けれどそれらクレームに対して、編集長が謝罪していたとは考えにくい。
実際にそういうことがあって、編集部がつっぱねた例も知っている。
どのメーカーなのかも聞いている。

雑誌はメーカー、輸入元から広告をもらっているし、
製品の貸し出しも受けているから、絶対に逆らえない、という人がけっこういる。
そう信じたければ、それは個人の自由である。

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