マーラーの第九(Heart of Darkness・その11)
ストコフスキー/ロンドン交響楽団のマーラーの二番を聴いてみたい。
急に、そう思うようになった。
ストコフスキーの名を知らない人はいないだろう。
クラシックにさほど関心のない人でも、どこかで耳にしたり目にしたりしている、と思う。
名は知られていても、いまもストコフスキーの残した録音を、
熱心に聴いている人はどのくらいいるのだろうか。
クラシック音楽を聴いてきた時間の長い人ほど、
どこかストコフスキーを、巨匠と呼ばれる指揮者よりも低くみている。
私もそうだ。
ストコフスキーのレコードといって、すぐに浮ぶのは
グレン・グールドとのベートーヴェンのピアノ協奏曲第五番ぐらいでしかない。
ほんとうにストコフスキーのレコード(録音)を、積極的に聴いてきたわけではない。
これから先も、ストコフスキーを熱心に聴いていこうとも思っていない。
なのにストコフスキーのマーラーの二番が、ひっかかっている。
1974年に録音している、ということは、
1882年生れだから、92歳でのマーラーの二番である。
CBSコロムビアと100歳までの録音契約を結んでいたことは、私だって知っている。
そういうストコフスキーだから、92歳という年齢をふつうの感覚ではかっても、
あまり意味のないことだろうが、それにしても一番や四番ではなく、
二番を録音しているということを、うまく言い表せずにいるもどかしさがある。
微にいり細にいり、という演奏ではないであろう。
多少の瑕疵もある演奏かもしれないが、少なくともレコード会社が発売にOKを出している。
タワーレコードが、ストコフスキーのマーラーの二番を復刻している。