オーディオと「ネットワーク」(モニター機の評価・その4)
インターネットの掲示板とは、見知らぬ人と、それも複数の人と、
それぞれを隔てる距離、時間など関係なしに結びつけて話し合える場ではないのか。
議論もできる場であり、議論を深めていける場もある。
なのに残念なことは、それまではそんな雰囲気のあった掲示板が、
知名度が急に広まって多くの人がどっと押し寄せるようになると、
それぞれの自己主張の場と変っていくように感じている。
しかもいい大人が……、といわれる年代の人たちに、そういう人がどうも多いようだ。
(その3)でふれたdéjà vuの掲示板もそうだったように記憶しいてる。
相手の意見に耳を傾ける、ということが、この人たちはできないのか。
そう思いたくなる(言いたくなる)ほど、一方的な書き込みをする人が現れる。
私が記憶している範囲では、こんなこともあった。
スピーカーのネットワークの次数とユニットの極性についてのことだった。
意見を戦わせていたのは、おもに二人。
どちらもハンドルネームだったが、当時ステレオサウンドに執筆していた人たちである。
そのことは常連のあいだでは知れ渡っていたはずだ。
一人は1970年ごろまでのスピーカーの教科書的書籍を元に書き込む。
もう一人は聞きかじりの知識のみで書き込む。
どちらかが全面的に正しくて、片方が全面的に間違っていたのであれば、
話は簡単に決着するのだが、両者とも部分的に正しくて、部分的に間違っている。
スピーカーの基礎知識があったうえで、
最新のスピーカーシステムがどうなっているのかを知っている人ならば、
この二人の議論が噛みあわないのはすぐにわかったはずだし、
それぞれの間違っているところを指摘することもできるのだが、
誰もそんな人はいなかったし、私も面倒でやらなかった。
二人とも知人ではあったし、一人はわりと頻繁に連絡をしていたので、
やんわりとそのことは伝えていた。
議論は尻すぼみになった記憶がある。