Date: 11月 27th, 2008
Cate: 川崎和男
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川崎和男氏のこと(その9)

文章を書くことも含めて、なにかを表現する行為は、詰まる所、自己顕示欲の現われだと思っている。
その自己顕示欲を何処まで昇華できるかが才能であるとも思っている。
誰かに頼まれたわけでもないのにウェブサイトを作り、そこに自分の文章を書いていくことは、
自己顕示欲をうまく利用していかないと続かないだろう。

1999年にウェブサイトをつくろうと決めた。
何をそこに載せるのか。

このころになると、オーディオの個人サイトも増えてきていた。
オーディオを休止していた私は、現在進行形でオーディオを語れない。
それまでの経験と知識で、いかにもオーディオを、こんなに熱心にやっています、
と見せかけることをやろうと思えばできなくはなかったが、それは不誠実な行為にすぎない。

どうするか。
いくつか決めていったことがある。
できれば自己顕示欲から離れたものでありたい、
想定読者は、まずは私自身。読みたいもののためであること。
つまり菅野先生と川崎先生の対談を実現するための場。

もうひとりの読者は、13歳の私である。
1976年、オーディオに興味を持ちはじめたころの私のためである。
もし、いま(1999年)、13歳の私がいたとしよう。
はたして、1976年といまとでは、どちらが幸せだろうか。

生れてくる年、性別など自分では選択できない事柄が、かならずある。

私は1976年に13歳だった。そのころは、岩崎先生も五味先生も、瀬川先生も健在だった。
やはり、このことはすごい幸運であった、といまでも思っている。

1999年、いま(2008年)でもどちらでもいい。13歳の私がいて、幸運だ、と思えるようにしたい。
そう思いやったわけだ。

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