「菅野録音の神髄」(その15)
菅野先生と保柳健氏との対談、
「体験的に話そう──録音と再生のあいだ」を読み返しているわけだが、
ほんとうにおもしろい、と思って読んでいるところだ。
40年前の記事である。
当時も、興味深い記事だとは感じていたが、
すんなり理解できていたわけではなかった。
読みながら、いろんなところがひっかかってくるんだけれど、
だから何度か読み返しもした。
それでもすんなりと理解はできなかった。
理解するには時間が必要だ、ということだけはわかった。
40年経つと、よくわかる。
そういうことだったのか、とも頷ける。
こんなことを書くと、また嫌味なことを……、と思われるだろうが、
それでも書いておく。
いまのステレオサウンドに載っている記事で、
40年後(そこまでいかなくてもいいが)に読み返して、
古さを感じさせないどころか、ほんとうにおもしろいと思えるのがあるのか。
もっといえば40年後に読み返す人が、はたしているだろうか。
その意味で、40年後に読み返させて、しかもおもしろいと読み手に思わせる人こそが、
オーディオ評論家(職能家)であり、
それ以外のオーディオ評論家は、オーディオ評論家(商売屋)でしかない。
「体験的に話そう──録音と再生のあいだ」から、もうすこし引用していきたい。