「菅野録音の神髄」(その14)
私は「THE DIALOGUE」での音量の基準はドラムスで決めている。
それもドラムスの実際の音量というよりも、
エネルギーの再現ということでボリュウム位置を決めていることは、
以前「Jazz Spirit Audio(audio wednesdayでの音量と音・その2)」で書いているとおりだ。
私はそれが正しいと思っているし、自信をもってやっている。
けれどベースの音を基準として、音量を考える(設定する)人にとっては、
そうとうに大きな音量と受け止められるであろうし、
大きすぎるというより間違った音量ととらえられるかもしれない。
おそらく「THE DIALOGUE」を鳴らしている人のなかには、
ベースを基準に音量を決めている人もいるはずだ。
再生側の、全体の音量設定ひとつでも、こういう違いがある。
録音では、楽器ごとに音量を変えることも可能だ。
違いは、多岐にわたり大きい。
保柳健氏は、こう発言されている。
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保柳 まず、そこにある音が基準となる。あなたがいうように、ベースが実際にはほとんど聴こえない状態だったら、ブーストするでしょう。それは、あくまでもその場の雰囲気を伝えるためのブーストであって、どちらというと従ですね。つまり、主観的にブーストするとなると、音楽に絶対の自信を持っていないとできない。
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菅野録音におけるブーストは、だから主観的なブーストである。
ここでの主観的の「主」は、客観的に対しての「主」でもあり、
従に対しての主でもある。