Date: 2月 28th, 2018
Cate: きく
Tags:

感覚の逸脱のブレーキ(その7)

菅野先生が、「パイプ」に書かれていることを引用しておく。
     *
 私はいままでにずいぶんと、期間を区切って禁煙している。たとえば一日禁煙したり、長いときには半年とか一年ということもあるが、これはタバコをやめようと思って禁煙するのではない。白紙に帰して、あの初心のおいしさを味わおうということで禁煙するわけだ。音楽でも同じだが、常に飽和状態にしておくことはよくない。やはり飢餓状態にしておくことが必要だ。朝から晩まで音楽を聴いていては感受性がにぶってしまう。食物でもしかりだ。だからタバコがマンネリになったと思ったらやめて、それもできるだけ長くやめる。何についても自己規制は必要であり、自分の感受性のゼロバランスを戻す努力をすべきだと思う。
(「音の素描」より)
     *
ステレオサウンド 86号に、岡先生による「音の素描」の書評が載っている。
岡先生も、「パイプ」の一節について書かれている。

上に引用したところについて、こんなふうに表現されている。
《そのあとのしめくくりの短文が菅野さんならではのものである》と。

私もそう思う。
《自分の感受性のゼロバランス》、
《感覚の逸脱のブレーキ》とともに忘れてはならない。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]