Noise Control/Noise Designという手法(その47)
ディネッセンのJC80のことを思い浮べる。
型番からわかるように、ジョン・カールの設計による、このプリアンプは音は良かった。
外観や外部電源のつくりなど、注文をつけたいところはいくつもあったが、
その音を聴いてしまうと、欲しくなる。どうしても欲しくなるほどの音の魅力があった。
JC80と出合ったのは、ステレオサウンドで働きはじめたばかりのころで、
そうとう無理しても手の届くアンプではなかった。
それでも試聴の度に、欲しい、と思わせる。
ただ残留ノイズだけは、大きかった。
当時のステレオサウンド試聴室のリファレンススピーカーは、JBLだった。
4343から4344へと替ったころにあたるが、どちらも出力音圧レベルは同じで、
カタログ値は93dB/W/mで、いまの感覚からすれば高能率ということになるだろうが、
当時としては、フロアー型としてはやや低めだった。
それでも残留ノイズは、かなり大きい。
ボリュウムを絞りきっていても、
入力セレクターをライン入力にしていても出ているわけだから、
ラインアンプの残留ノイズである。
音楽が鳴っていないと、つねにスピーカーからシーッというノイズ音がしている。
けれど、そのノイズは、音楽が鳴り出すと、気にならなくなる。
それでも、人によってはそうとうに気にするであろうし、
私だって、もう少しなんとかならないものかと思っていた。