Date: 2月 26th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design
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Noise Control/Noise Designという手法(その46)

井上先生は、かなり以前から「ノイズも音のうち」といわれていた。
このことを少し具体的に書かれているのが、
「ラックス論:ハイエンドオーディオの神髄ここにあり」である。
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オーディオ機器としてのクォリティ、つまり物理特性を上げていけば、当然の帰結として、音の鮮明さ、分解能は向上し、以前のラックス製品と比べると最新のものはそうとうに細かく、かつダイナミックで、音場感情報が豊かな音を出すようになってきているのは事実だ。
 しかし、そこで面白いのは、ラックスマンのアンプは徹底してノイズを取るという志向ではないところだ。たとえば今回の試聴テストでも、C10とB10の組合せをJBL4344MkIIで聴くと、プリアンプのボリュウムを絞りきっても、海外製品のように、かすかに残留ノイズが聴き取れる。国内メーカーのアンプでは、ボリュウムを絞りきるとまったく無音、いっさいノイズは聴きとれないというのがほとんどだが、ラックスは違う。徹底してノイズを取ることを至上とするよりは、むしろ音の生き生きした表現力の豊かさの方を重視する。このへんは海外製品にも通じる、ラックスならではのア符スー値というべきだろう。無用にSN比を上げるカタログ至上主義ではなく、実用レベルのSN比を重視し、音楽に悪影響を与えないかぎりは、ノイズを抑えることによって音楽の表情が死んでしまわないよう、音楽の表情の豊かさ、自然さの方を重視しているのがラックスマンの考え方といえる。
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音の生き生きした表現力の豊かさ、音楽の表情の豊かさ、自然さ、
これらをひとことで表わすなら、聴感上のダイナミズムだ。

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