オーディオの楽しみ方(つくる・その16)
SICAの10cm口径のダブルコーンのフルレンジユニットの音を聴いていて、
頭を擡げてきたのは、瀬川先生の4ウェイのプランである。
何度か書いている。
フルレンジからスタートして、2ウェイ、3ウェイと発展し、
最終的には4ウェイとなるシステム構築である。
40年近く前、これをやってみようと思ったことは、いまもはっきりと憶えている。
結局フルレンジスピーカーはいくつか鳴らしてきたが、
2ウェイ、3ウェイ……と発展させることはなかった。
それでも数年おきに思い出す。
思い出すごとに、いまだったら、どのユニットをでやるだろうか、と思う。
思うだけで実行することはなかった。
SICAの音を聴いて、このままフルレンジとして聴くのもいいけれど、
4ウェイまで発展させなくとも、3ウェイで、イギリスのBBCモニター的なスタイルでつくれないものか、
そんなことを考えていた。
ウーファーは20cm、25cmくらいか。
30cmも捨て難い。
30cmにするなら、JBLの4311的なまとめ方もいいかもしれない、と、
BBCモニター的なことから外れたことを、もう考えてしまっていた。
いやいや最初に考えていたスペンドールのBCIIくらいの大きさの3ウェイならば……、
と考えを元にもどす。
となるとウーファーは大きくても25cmくらいまでで、
トゥイーターはドーム型、もしくはAMT(ハイルドライバー)にしたい。
エンクロージュアはあまりガチガチにしたつくりではなく、
BBCモニター的に奥に長いプロポーションで、あまり重たくしたくない。
いやいや──、とまた思い直す。
今年は、押入れで眠ったままのQUADのESL63 Proを直すことを最優先したい、と。
その他にもプランはいくつかある。
私の場合、どれかひとつに絞って「始めろ」と自分自身にいうことなのは、
よーくよーくわかっている。
それでもフルレンジから始めるマルチウェイシステムは、
オーディオ少年真っ只中だったころの残り火であって、いまもくすぶっているのを感じていた。