実感した電源ノイズ事情(その1)
私が勤めていたころのステレオサウンドは、
窓から顔を出せば東京タワーがはっきりと見える場所にあった。
井上先生が、そのころよくいわれていたのは、ノイズ環境のひどさだった。
スイングジャーナルは東京タワーの、ほぼ真下といえるところにあったから、
ステレオサウンドの試聴室の方が条件としては悪い(ひどい)、といわれていた。
いまから約30年前の話だ。
いまやノイズ環境はひどくなるばかりといっていい。
デジタル機器が氾濫しているし、電源の状態も悪くなることはあっても、
もうよくなることはないであろう。
昨日、渋谷の明治通り沿いにあるギャラリー・ルデコでの写真展(4F)に行っていた。
マークレビンソンのML7A、No.27、スピーカーはアンサンブルのReferenceという組合せで、
音楽が流されている空間だった。
片チャンネルからバズのようなノイズが出ていた。
ノイズがどう変化するのかいくつか試したなかで、
ML7Aの電源コードを、壁のコンセントから直に取るようにしたところ、
両チャンネルから、ノイズが出るようになった。
いままでのノイズにプラスして、である。
ML7AはADCOM製のノイズフィルター内蔵のACタップから取られていた。
元に戻すと、片チャンネルだけのノイズになる。
つまり電源からのノイズが、音として聞こえてきたわけである。
ステレオサウンドの1981年の別冊「’81世界のセパレートアンプ総テスト」では、
コントロールアンプの測定で、パルス性のノイズを電源に加えた場合に、
出力に表れるかどうかということをやっている。
パルス性ノイズがそのまま出てくるアンプもあった。
ML7は優秀で、まったく出てこなかった。
それだけ現在の電源ノイズは、ある意味、すごい(ひどい)といえる。