広告の変遷(アキュフェーズの場合)
数年前から音元出版のオーディオ雑誌は、
記事はすべてカラーになっている。
広告の一部がモノクロである。
ありえないことだが、
もし音元出版がカラー広告とモノクロの広告の料金を同じにしたら……、と考えてみた。
こんなことを考えたのは、アキュフェーズの広告は、
ずっと昔からモノクロで通してきているからである。
アキュフェーズはカラー広告を出すようになるのだろうか。
2003年に酣燈社から「オーディオ 巧みのこころを求めて」が出た。
アキュフェーズの創業者の春日二郎氏の本である。
非売品だが、少なからぬ数が配られているようだがら、読まれた方もいよう。
1975年の文章に、こうある。
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オーディオ・フェアが10月24日から開かれるが当社は出品しない。これには数百万円の費用がかかり、それだけの効果が期待できないこともあるし、今の当社にはそれだけの経費は負担できない。「出さない話題性」も有効だし、アキュフェーズは別格だというイメージを作り出したい。「そうした費用を製品に造り込んでいるから良いのだ」という見方も生まれる。外部から質問があったら、こんなことを頭に入れておいて答えてほしい。このように一つの理念を貫いて行くことにより、長い年月の間に特別な存在としてのアキュフェーズ像が出来上がってゆくのだ。
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1980年の文章にも、同じことが書かれている。
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宣伝は、オーディオ関係の雑誌に白黒の広告を出すだけである。費用のかかるオーディオ・フェアには参加しない。ただし、話題商品を出すことによってオーディオ誌の記事に取り上げられ、自社宣伝の数倍の効果がもたらされている。宣伝費を最小にして、その費用を開発費に当てる方が宣伝になる。販売店にユーザーを集めてシンポジウムを積極的に行ない、販売店のお手伝いをしている。講師は、私をはじめ、社内のメンバーがつとめている。このようなミニコミが高級品の販売には非常に重要である。
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カラーの広告ばかり出しているところを批判したいわけではない。
カラーの、優れた広告があれば(オーディオ関係ではあまりないけど)、雑誌が映える。
けれど、そういう会社は一つの理念をもって、カラー広告を出しているとは思えない。
アキュフェーズは、これからも一つの理念を貫いて、モノクロの広告を出し続けてほしい。