スピーカーシステムという組合せ(その9)
「世界のオーディオ」オンキョー号の「誌上シンポジウム システムスピーカー使いこなし」では、
173の組合せ例の中から、18例の試聴が行われている。
記事には、ネットワーク特性のグラフと、
システムトータルの周波数特性グラフが載っている。
これらのグラフは、おそらくレイアウトブックに掲載されていたものだろう。
レイアウトブックは、1,500円(価格1,000円、送料500円)を、
現金書留でオンキョーの宣伝課に送付すれば手に入れることができた。
システムナンバー100220のネットワーク特性をみると、
たしかにウーファーは900Hzのカットオフ、
トゥイーターは5kHzのカットオフであることが確認できるし、
クロスオーバー周波数は1.75kHzあたりになっていることもわかる。
周波数特性をみると、1.75kHzあたりの音圧はやや低下気味ではあっても、
深く落ち込んでいるわけではない。
「誌上シンポジウム システムスピーカー使いこなし」の冒頭で、
瀬川先生の次のようなことを発言されている。
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ある時期、自作というのは難しいものでした。メーカーのユニット技術がだんだん上がるにつれて、ユニットどうしをうまく組み合わせるためには、いままでの古い教科書に出ていたようなネットワークやアッテネーターでは、うまくいかないということがいわれ始めた。いわれ始めたにもかかわらず、ではどうしたらいいのかというと、そこに何の手がかりもなかったわけです。ところが、この全システムを見ると、ネットワークなどもいままでの常識から全然外れたような、メーカーサイドで製品としてやっていたことを、ユニットでアマチュアに公開してしまったみたいな、ある意味ではメーカーがスピーカーシステム作りの手の内を半ば見せてしまったような面白さもあると思います。
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システムナンバー100221は、
100220にスーパートゥイーターとしてTW3001を加えた3ウェイの組合せ例である。
ここでのネットワークは、ウーファーにはN900CLと100220と同じだが、
ミッドレンジはドライバーとホーンは同じにもかかわらず、N3400CBに変更されている。
N3400CBは、バンドパスフィルターで、
ローカットは3400Hz、ハイカットは17kHzとなっている。
このネットワークはTW3001用の出力ももち、
コンデンサーがひとつ直列に挿入されるようになっている。
TW3001が加わり3ウェイとしてまとめるためなのだろう、
ミッドレンジのカットオフ周波数が5kHzから3.4kHzへと低くなっている。
そのことにより、ウーファーとのクロスオーバー周波数は1.5kHzあたりとやや低くなっている。
そのことにより周波数特性のグラフにも変化がある。
高域のレンジがのびているだけでなく、
ウーファーとミッドレンジのクロスオーあたりにも変化がみられる。