丁寧な使いこなし(その3)
「使いこなし」のテーマで「他者のためのセッティング・チューニング」を書いた。
ここでの音の判断は、私ではなく、ブラジル音楽のディスクを持ってこられたHさん。
どこかをいじる。
その音をHさんが聴いての感想をきいて、次のことにうつる。
まず最初にいじったのは、トーンコントロールだったことは書いている。
このトーンコントロールの調整のときに何を考えていたかというと、
次の手をどうするかだった。
トーンコントロールをいじっている段階では、当然音は出ていない。
いじった音をHさんが聴いての感想を受けての、次の手を考えるのではなく、
Hさんの感想を受けて、すぐに次の手を実行できるように、いくつか考えている。
どこかをいじる。
その結果出てきた音を聴いて、次をどうするかを考える。
こんなふうにオーディオの調整・使いこなしを行われているのではないだろうか。
いじっているときに、次の手をいくつか考えておくやり方よりも、
音を聴いて、次の手を考えるのは、その分時間がかかる。
いじっているときに、次の手をいくつか考えていれば、
出てきた音を聴いて、すぐに次の手を選択し聴き終るとともに、次の手を試せる。
オーディオの調整・使いこなしは、ひとつふたつをいじってオシマイではなく、
いくつものことを限られた時間内にやっていく。
聴いてから次の手を考えて試して……、
時間をその分必要とする、こちらのやり方のほうを丁寧な使いこなしと思う人もいるだろう。
いじっているうちに次の手を考えて、すぐに次の手にうつる……、
パッパッとやっていける、こちらのやり方を丁寧とは感じない人もいるだろう。
私は時間をかけてやるのが、決して丁寧な、とは思わない。